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北陸新築・リフォーム補助金サポートナビ編集部です。
今回は環境省の補助金「ZEH支援事業」について解説します。
もう10年近く継続している補助金なので、みなさん存在は知っていますよね。
でもこれまではスルーしてきました。他に使える補助金があったから。。。
ところが昨今の国交省の新築補助金といえば、大抵世帯要件があります。
今の「子育てエコホーム支援事業(新築)」が世帯要件が合わず活用できないお客様でも、
何かご紹介できる補助金はないの??
最近、そのようなご相談を多くいただくようになりました。
そんな時に候補としてご紹介しているのが「ZEH支援事業」補助金です。
補助金額は1戸あたり定額の55万円ですが、性能要件はそんなに厳しくないし、応募の手続きも意外と簡単です。ただし、ZEHビルダー工務店であればの話。。。
そもそもうちはZEHビルダー登録、ちゃんと継続してたかな??
まずは当コラムを読んで、覚悟を決めてからにしましょう。
ZEH支援事業とは、ゼロエネルギー住宅(ZEH)の普及を促進するために経産省と環境省が協同で実施している補助金制度です。
補助金審査団体の環境共創イニシアチブ(SII)のホームページにて、例年4月下旬に当年度の補助金の公募をスタートしており、令和6年度も4月26日から公募開始しています。
補助金額は、一般的なZEHであれば55万円/戸。ZEHOrientedも可。
断熱強化型のZEH+は100万/戸です。ZEHOriented不可、太陽光必須。
補助金の予算は「一般公募」枠と「新規取組公募」枠に分けられており、「新規取組公募」つまりZEHビルダーが初めて補助金申請する物件の場合は、新規取組公募枠として確保されている予算を使うことができます。
春に大量に応募してくる大手ハウスメーカーが手を付けられない予算なので、初めての申込物件であれば補助金活用が優先されていると言えます。
一般公募枠はシンプルに先着順で採択していきます。SIIのホームページに採択発出数が公開されるので(令和6年度はまだ未公開)、とにかく早く申込(交付申請)するのがおすすめです。
なお、本事業は基本的に単年度事業です。
遅くとも令和7年1月27日までに事業完了(完成引渡し)、完了実績報告期限が令和7年1月31日までとなっています。
完了実績報告時に提出するであろう資料の主なものとしては下記のものになってくるはず。
・断熱材やサッシの出荷証明書
・断熱材やサッシの施工写真
・エアコン施工写真
・給湯設備の施工写真
・24時間換気の施工写真
・該当の場合は太陽光発電システムの系統連系申込書の写し(余剰買い取り方式であることを確認)
・検査済証の写し
・HEMS保証書写し
※詳しくは交付申請後に案内される「事務取扱マニュアル」を参照ください。
子育てエコホーム新築の完了報告に比べると、提出物はかなり多いです。
でも10年間にくらべたらずいぶん少なくなりました。
とはいえ最後の書類のとりまとめにまあまあ時間を要します。
少なくとも、完成引渡し+工事代金全額領収していないと実績報告できません。
なのでこの補助金を活用する場合は、完了報告期限を考慮して、春~夏着工物件向き。
交付申請~着工を遅くとも8月~9月で想定した方が良いでしょう。
交付申請は建築主名にて申請します。補助金の振込先も建築主です。
補助の大前提としてZEHビルダー/プランナーにより建築されたZEH住宅であることとなっており、交付申請時に建築してもらうZEHビルダー情報(登録番号など)が必要です。補助金に受かってから後からビルダー登録。ではありません。
なお新規取組公募枠はビルダー新規登録申請中で番号未確定でも交付申請が可能です。
注意すべきは、交付申請時点で契約していてもいいけど、現場着工前であること。
交付申請後、約3週間ほどの審査を経て、交付決定番号がSIIからメールで発行されます。通知書には着工前写真を撮影するよう指示がある。
今通知されたばかりの交付決定番号を工事看板に書いて更地状態の建築地を撮影する必要あり。
これを着工前写真として提出することになります。
なので写真の撮影日をごまかして先着工はできません。
いつ交付決定通知なるかはわからないまま、着工を延ばす必要があります。
なので工期が決まってから応募。は不都合が多いでしょう。
本事業の活用方法でおすすめなのは、請負契約前に応募(交付申請)すること。
採択されたら工期決定して契約、着工するのがスマートです。
この55万は当社で建てる場合にもらえる補助金ですよ。と言えばいい。
なお、着工=厳密にいうと本補助金の補助対象工事の着手であり、基礎の断熱材の施工作業そのものと解釈してくれる場合があります。どうしても早く着工したい場合は直接SIIに物件名を出して率直にタイミングの相談をしてみましょう。
じゃあ、あのお客様にこの補助金のことを言ってみようかな?
確かうちはZEHビルダー登録してたはず。
ZEHビルダー登録番号ってどれ??
次項はZEHビルダー登録についてです。
ZEHビルダーとは、自社が受注する戸建住宅(新築注文住宅、新築建売住宅、既存改修)のうち、ZEH、Nearly ZEH及びZEH Oriented(以下はZEH住宅とする)が占める割合を50%以上とする事業目標を掲げる、ハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者等のことです。実は改修のコースもある。
ZEHビルダーは、2025年までどれだけZEH住宅を普及できるのか、自社の建築目標を宣言する必要があり、自社HPなどでその内容をまずは公開しないといけません。
そして年度ごとにZEH仕様で建築した住宅が何棟あったか、目標に対する実績がどうだったか、SIIに実績報告する義務もあります。これは補助金実績のことではなく自社の建築物件の仕様の実績そのものがベースになります。未達でも別にペナルティはありませんが、やる気がないビルダーに見えるとは思います。
まずは自社がビルダー登録中かどうかを確認しましょう。
下記HP内で自社が登場するかどうかチェックできます。
ZEHビルダー登録事業者の検索はこちら。
https://zehweb.jp/registration/builder/
自社名が出てこないなら、現在未登録です。
補助金を使いたい場合、まず先に工務店として新規ZEHビルダー登録申請する必要があります。
新規登録の申請は年度末まで随時申込できます。令和6年度から「ZEHビルダー/プランナーポータルサイト」という新しい電子申請システムが稼働しておりいろんな手続きはこの電子申請システムを使います。
登録申請についてはこちら。
https://zehweb.jp/registration/builder/public.html
自社名が検索できた場合はZEH支援事業に即応募できますが、
自社実績に「未」が表示されている場合は要注意です。
「未」はZEHビルダーとしての実績報告が未提出のままという意味です。
「未」が1つでもあるZEHビルダーは、原則として補助金交付申請できません。
下記はFAQより
このあたりのSIIの実務は非公開ですが、未提出の過去の実績報告を提出してから交付申請できたケースもあるようです。
もしこれから新規登録してZEH支援事業の補助金55万円/戸に応募するなら、
補助金申請物件の引き渡し後も、ZEHビルダーとしての身分を維持する必要があり、例年多少の事務が生じる点をよくご理解ください。
今回のお客様のためにだけ登録を考えている程度であれば、この補助金は向いていないと思います。
これからは毎年補助金応募するぞ!くらいの気持ちで、新規登録をおすすめします。
すべての手続きは「ZEHビルダーポータルサイト」で行います。
申請の流れはこちら。
このうち③の情報入力は主に下記の通り。
・2020年~2023年までのZEHやZEH+の建築実績。0でも可
・2025年までのZEH建築目標
・ZEHの周知・普及に向けた具体策(作文)
・ZEHのコストダウンに向けた具体策(作文)
・会社情報
・建設業の許可証
・ZEH普及目標を公開したことがわかる資料(自社HPURLなど)
以上を申請ポータル内で申請した日を毎月締めて、翌月末にはZEHビルダーとして検索ページで公表されるしくみ。
補助金の申込は原則ZEHビルダーとして公表された日以降になるので、これからZEH支援事業という補助金を活用していきたい場合はなるべく早く上記新規登録情報を考えて、申請ポータルで申請した方が良いでしょう。
下記は2024年度のZEHビルダー登録申請提出日別の公表日のスケジュールです。
第1回公表日:2024年4月25日(木) [提出:2024年4月12日(金)17:00必着](済)
第2回公表日:2024年5月31日(金) [提出:2024年5月17日(金)17:00必着](済)
第3回公表日:2024年6月28日(金) [提出:2024年6月14日(金)17:00必着](済)
第4回公表日:2024年7月26日(金) [提出:2024年7月12日(金)17:00必着]
もう一つ、先に知っておくべきなのは、補助金受領後、2年間のアンケート報告義務があることです。
アンケート対象は補助金を受け取った人、つまりお客様です。
ZEH補助金は実績報告時に建築主のメールアドレスを1つ提出する必要があり、そこへSIIからアンケートを提出するようお知らせが届きます。
内容はZEH住宅への入居後、電力やガスの使用量と太陽光がある場合はその発電量を、半年ごとまとめて全4回つまり2年間、アンケート回答専用のホームページ内にて直接入力することになります。パソコンかスマートフォン必須。
エネルギー使用量データは補助対象住宅に施工したHEMSのデータを使います。このため、ZEH支援事業は補助金額が55万だろうと100万だろうとHEMS設置が補助金の要件になっています。
ZEH補助金 定期報告アンケートについて
また、アンケートは入居者の人数やおふろを沸かす頻度、エアコンを何時間使っているか、冬のあたたかさなど住み心地についての満足度など、感想的な設問が細かくあります。
なので入居者のお客様ご自身でアンケート対応していただく必要があるのです。
パソコンやスマートフォンの操作が苦手、と大抵の人は言ってくるでしょうが、アンケートには回答期限もあり、2年間全4回続くので、工務店担当者が操作を代わって行うようなことはしないでください。
補助金に応募する前に、アンケート回答が補助金の要件になっていること、
直接やりとりしてもらうので代行はできないことをお客様にしっかりお伝えいただき、
同意をもらっておいてください。
ここまで読んで、覚悟を決めて応募してみよう!と思った方。
技術的なポイントをいくつか記載しましたので参考にしてください。
・ZEHまたはNearlyZEHまたはZEHOriented(多雪地域)とすること
・主たる居室(LDK)の冷暖房を施工すること(エアコンなど)
・HEMS施工必須。
・ZEH+、NearlyZEH+であること。ZEHOrientedは不可。つまり太陽光必須
・主たる居室(LDK)の冷暖房を施工すること(エアコンなど)
・HEMS施工必須。
・一次エネルギー消費量削減率(太陽光除く)を25%以上とする
・ZEH+の選択要件下記abcのうち2つ選択して実施すること
a: UAを0.50以下とする(5~6地域の場合)
b: 高度エネルギーマネジメント(HEMSで冷暖房や給湯も計測)
c: 電気自動車用充電設備または充放電設備あり
a: 断熱性能等級6かつ一次エネルギー消費量削減率(太陽光除く)を30%以上
b: 高度エネルギーマネジメント(HEMSで冷暖房や給湯も計測)
c: 電気自動車用充電設備または充放電設備
いかがだったでしょうか。
国交省の子育てエコホームが補助対象にならない時のみ、ZEH支援事業を検討する方が多いかもしれませんが、まずはZEH住宅の55万から申請してみてはいかがでしょうか。
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