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マイホームを建築する際に考えることの一つが、住宅の断熱性能です。
2025年現在、断熱等級は1から7等級まであります。また、断熱材にはグラスウールや吹付発泡ウレタンなどさまざまな種類があり、メリットデメリットが異なります。
住宅用に使用されている主な断熱材は大きく分けて6種類あります。
それぞれのメリットデメリットや、断熱性能について表にまとめました。

※熱伝導率(W/m・K)・・・値が小さいほど断熱性能が高い
※防湿層による結露対策・・・断熱材が結露水で劣化しないための防湿フィルム等を施工する措置のこと
グラスウールは、高温にして溶かしたガラスを繊維状にして、集めたものです。細い繊維が重なることでできる隙間に含まれた空気によって、高い断熱性能を発揮します。
グラスウールは軽くて使用しやすく、リサイクル可能な素材です。さらに価格が安いため、大手ハウスメーカー等でよく使われています。
グラスウールの断熱性能を十分に発揮させるためには、グラスウールを隙間なく施工する必要があります。
グラスウールは結露水などで濡れてしまうとカビで劣化し断熱性能が落ちてしまいます。そのため、一般的なグラスウールは工場出荷時にポリエチレンフィルム等で保護されておりそのまま使います。現場で断熱材をカットして使った場合は、切断面から湿気が入らないようテープ等でふさいで湿気が入らないようにする措置が必要です。
グラスウールは材料は安価なのですが、施工面では現場に応じて判断する必要があるので、正しい知識と技術が必要です。
設計者や現場監督による工事監理の徹底が重要な材料であると言えます。
建築物省エネ法では、省エネ基準に適合する最低基準(熱抵抗値等)を設けていますが、厚みを満たすだけでなく、
結露防止措置も施工指針として定められています。
完了検査時には断熱材の施工状況写真を提出しますのでそういう面で指摘されないよう注意しましょう。
ロックウールは、玄武岩やスラグなどの鉱物を主原料としています。高温にして溶かした鉱物を繊維状に加工したものです。グラスウールと似た性質があり、熱に強いが湿気に弱いので、施工の際はグラスウール同様、防湿層の施工が必要です。
断熱性能では、ロックウールは密度を高めてもさほど熱伝導率が良くならない特性があり、しかも重くなるため、高密度製品はあまり流通していません。
ロックウールは防火性能を重視する場合、たとえば工場や公共の施設など耐火性能が必要な建築物におすすめです。
セルロースファイバーは主原料にリサイクル新聞紙など古紙を使った、自然素材由来で環境にやさしい断熱材です。
新聞紙つまりパルプ繊維には多くの細かい空気の層があり、たくさんの空気を含んでいます。
住宅では室内側に不織布でできたシートを施工し柱と柱の間いっぱいにセルロースファイバーを吹き込み充填します。
狭い空間にセルロースファイバーをまんべんなく吹き込むので高い技術が必要、専門業者による施工が一般的です。
専門業者の施工技術が高くて、高い密度でムラなく充填することができれば、高い断熱性能を発揮します。
このため、セルロースファイバーは材料はリサイクル品ですが施工費(技術料)が割高な傾向はあります。
また、セルロースは湿度が高いと湿気をとりこみ、逆に過乾燥になれば内部に貯めた水分を室内に放出するので、住宅の室内を年中適度な湿度に保つ効果があります。
セルロースは木が原材料なので燃えます。そのため、火災時の燃え広がりを最小限にするために、メーカー側でホウ酸を加える処理をしてある製品が一般的です。ホウ酸とは、防腐剤として目薬などにも使用されているなど人体への影響は比較的少ない薬品と言われています。ホウ酸は防虫防腐効果もあるので、同時にシロアリやゴキブリのような害虫対策にも有効です。
このように、セルロースファイバーは自然由来で調湿機能に優れている点が大きな特徴です。
ポリスチレンフォームには、ビーズ法と押出法の2つの種類があります。ビーズ法とはいわゆる発泡スチロールです。
発泡スチロールは発泡粒子が集まったものであり、その粒子に含まれる空気によって断熱効果を発揮します。
ポリスチレンフォームは湿気に強いため、結露やカビが内部で発生し断熱性能が劣化することは稀です。
また、軽くて衝撃に強く扱いやすい素材です。
ただし熱には弱く、万が一火事になった場合には、ポリスチレンフォームが縮んでしまい、断熱材として使えなくなります。
フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えたものです。
熱に強くて燃えにくく、有毒ガスが発生しにくいという特徴があります。
湿気にも強く、耐久性にも優れています。ただし、高価な原材料を使用するため、価格が高い断熱材です。
また、シロアリのような害虫に弱い点もデメリットです。
住宅で使われている断熱材の中では最も断熱性能が優れているため、薄くても高い断熱性能を発揮します。
断熱等級6や7など、より高い断熱性能の住宅では、外張り用の断熱材(付加断熱材)としてよく用いられています。
ウレタンフォームには、成形品の硬質ウレタンフォームと、建築現場で発泡させる現場発泡式硬質ウレタンフォームの2つがあります。
ウレタンフォームとは、枕やスポンジによく使われる「ウレタン」を発泡させて断熱性能を高めたものです。
ウレタンに含まれる気泡によって高い断熱性を保つことができます。
現場発泡式の硬質ウレタンフォームの場合は、耐水性が低くカビやすい欠点があります。
そのため、気泡に湿気が浸入するのを防ぐ「防湿層」を施工することが原則として必要です。
ただしウレタンは透湿性があるので、湿気を外部つまり通気層へ排出できその過程で結露も起きないということを「透湿抵抗計算」により証明できる場合は、防湿層の施工を省略してもよいとされています。
防湿層を省略したい場合は、現場発泡式の硬質ウレタンフォームを構造用合板など透湿できないものに吹付けすることはできません。
また、MDFなど透湿性能がある面材でも、氷点下まで気温が下がる寒冷地に建築する場合は、室内外の温度差に耐えられず結露することが透湿抵抗計算で判定されるケースもあるので注意が必要です。
一般的な現場発泡ウレタンフォーム「A種3」よりも耐水性があり断熱性能も高い「A種1H」タイプのウレタンもあります。かなり高額なので普及はいまひとつですが、防湿層が硬質ウレタン同様不要なので、ケースによって使い分けるとよいでしょう。
現場発泡ウレタンフォームは専門業者による施工が必要な断熱材です。
施工技術の高い業者が施工すれば、ウレタンの吹付ムラが少ない良質で連続した断熱層をつくることができるでしょう。
また、ウレタンのスプレー時に隙間もふさいでくれるので、住宅の気密性能を高めるメリットがあります。
デメリットとしては、ウレタンが木材に吸着しているので解体時に剥がす手間とコストがかかることや、万が一火事になって燃えると有毒ガスが発生することでしょう。
平成12年に創設された住宅性能評価制度では、住宅の温熱環境を評価項目として「断熱等級」があります。
その後平成28年には「一次エネルギー消費量等級」も追加されました。
断熱等級は数字が大きいほど断熱性能が高いことを表します。
令和12年の制度創設時点では断熱等級は等級4が最高等級でした。
その後、令和4年度には「2050年カーボンニュートラル」を実現するためにより高い断熱性能の目標値が必要となったため、ZEH水準相当を指す断熱等級5と、さらなる上位等級として等級6、等級7が追加されました。
従来は最高等級であったはずの断熱等級4ですが、令和7年4月からは新築住宅への省エネ基準適合義務化レベルとなり、
断熱等級4に満たない住宅は建てることができなくなったため、今では新築住宅の最低性能となっています。
断熱等級1から7までの指標とイメージを表にしてまとめました。

断熱等級は品確法で創設された住宅性能評価制度の「設計住宅性能評価書」または「建設住宅性能評価書」で証明されますが、
建築物省エネ法の住宅性能表示制度「BELS評価書」でも断熱性能レベルは確認することができます。
既存住宅を評価したい場合は、評価が複雑な住宅性能表示制度よりもBELS評価の方が簡易です。
住宅性能表示ラベル(BELS)での断熱性能の表示イメージ

出典:国土交通省住宅局 参事官(建築企画担当)付 「建築物の省エネ性能表示制度について」概要説明資料 第1版(2023年9月)より
※性能表示評価書とBELS評価書では審査項目で異なります。BELS評価書は断熱等級の証明書ではなく「レベル」を表したものです。
新築住宅の購入時に、断熱性能のレベルを気にするお客様が増えています。
なるべく性能の高い住宅を購入するために、比較検討の際に断熱等級がどれくらいなのか知りたいからです。
断熱等級が高い住宅を購入する場合は国の補助金が使えるケースが多く、令和7年は断熱等級6が必須となる「GX志向型住宅」に対して一戸あたり160万という高額の補助金事業が登場し大きな話題になりました。
補助金申請時には「設計住宅性能評価書」や「BELS評価書」など性能評価機関の発行した証明書を求めるケースがほとんどですが、
たとえ補助金利用の予定がなくても、なるべく断熱性能の証明書は積極的に発行してあげるとよいでしょう。
なぜなら、上記表でもわかる通り、住宅の性能とは、証明書が無い場合は、建築年代でおおよその推定をされてしまうものだからです。
もし一般的な住宅(省エネ基準)よりも高い断熱性能で建築した住宅ならば、性能の証拠となる評価書をしっかり取得しておくべきです。
そうでないと、20年ほど経ったとき、たとえば2050年になった時、建築年に応じた省エネ基準レベル住宅だと認知されてしまうでしょう。
北陸の工務店のみなさまが供給している住宅の断熱性能レベルは非常に高いです。
発注者からの要望がなくとも積極的に設計住宅性能評価書やBELS評価書を取得して、
高性能既存住宅として第三者に評価されるよう証拠を残しておきましょう。
今回は住宅に主に使用される断熱材の種類別の特徴や性能について解説しました。いかがだったでしょうか。
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