
令和8年4月になりました。原油価格高騰による建築資材の高騰が始まっています。
ホルムズ海峡が事実上封鎖され、世界中で原油の供給不足と価格が高騰する中、燃料費や輸送コストの高騰だけでなく、原油を精製する過程で得られるナフサ不足の影響も拡大しています。住宅では例えば、断熱材、サッシ、塗装、ビニル管やシーリング材など、影響を受ける関係資材は広範囲になると言われています。現在、断熱材メーカーから価格改定や注意喚起の連絡が相次いでおり、せっかくの春の建築着工シーズンに暗い影を落としています。
ここで思い出されるのは、2021年のウッドショックや2022年コロナ禍による中国ロックダウンによる半導体不足と給湯器不足です。
当時、仕様変更や工期の延長、材料高騰による追加費用の負担増について、お客様に個別に仕様変更や追加費用のお願いをしたのではないでしょうか。
過去の経験をふまえ、住宅供給事業者は令和8年の4月の今、どのような行動をとるべきなのかを今回は整理してみたいと思います。
資材高騰や供給不安定化の場合にまず選択する方法が、資材建材の早期発注による原価高騰対策でしょう。
予定の利益を守り資材を確保するために、値上がり前に発注する方法ですが、デメリットとして材料の置き場がないこと、建設業者に材料の請求書が早期に届いてしまうことです。気づけば建設業者は仕入れ超過になり倒産リスクが高まります。
もし早期発注で対策していくなら、お客様からの着工金を請負代金の50%相当くらい払ってもらうようにしてください。
ただし、お客様にとっては出来高以上に建築費を支払うことになります。
万が一、建築業者が倒産してしまったら、お客様は支払い済の建築資金が戻ってこないという重大リスクがあります。
そこで、事業者は完成保証制度に加入するなどして、絶対にお客様にご迷惑がかからないようにしましょう。
当サイトは㈱住宅あんしん保証の完成保証制度のご紹介が可能です。
保証料は1棟あたり10万円です。
完成保証の補償内容や利用のための審査の手続きについてご説明できますので、
富山・福井・石川の事業者様はまず当サイトまでお気軽にお問い合わせください。
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注文住宅の工事を請けるときにつくる「請負工事契約書」は、原則として契約後に工事代金の増額請求に消費者側が応じる義務はありません。
請負者は契約金額で工事完成を履行する義務があります。
発注者は契約通りに代金を支払う義務があり、その金額で住宅を引き渡してもらえる権利があり、請負者の債務不履行時には損害賠償請求や契約の解除も認められています。(民法第 541 条、第 545 条第 3項)
ただし、これは勝者に別の合意が無い場合です。
民法の判例には、世界的な社会情勢不安などの請負業者側に非のない場合に限り契約変更を認める「事情変更の法理」という考え方があります。
ただし当然には採用されない考え方なので、
確実な方法として請負契約時の約款に「請負代金の変更」を可能とする条文を明記しておくことをおすすめします。
「請負代金の変更」約定の例は、国交省がホームページで公開しています。参考にしてください。
「民間建設工事標準請負契約約款(乙)」
※「請負代金の変更」は第二十二条が該当。(A)または(B)どちらかのパターンを選ぶ
この条文はお客様にとっては損得を考えれば同意したくない内容ですが、
「原価高騰リスクを建設業者のみで吸収することは困難」であるという国交省の見解を元に、
関係団体が消費者を含めた発注者に理解を求めるパンフレットがあります。
令和4年のコロナ禍当時に作成されたものですが、令和8年の目下発生している資材高騰現象と内容は通じるかと思います。日本全体がこの問題にどう対処しているか、ひとつの指針ですので過去の例としてうまく使ってください。
(参考)一般社団法人日本建設業連合会
なお、建築資材高騰に困った建設業者が、取引上の地位を利用して下請け業者に減額要求をすることは、
場合によっては「建設業法違反のおそれ」に該当します。
まずは発注者であるお客様に現状を説明し協議を申し入れることが重要です。
国交省通達 令和4年4月26日付
「労務費、原材料費、エネルギーコスト等の取引価格を反映した 適正な請負代金の設定や適正な工期の確保について」
さて、状況によっては着工後にお客様に追加請求がありうることをご説明した場合、「では工事費の追加はいったいいくらくらいになりそうなんですか?」と聞かれるでしょう。
それに対して「その時にならないわからない」という回答しかできないのでは、商談そのものがまとまりにくくなるでしょう。
そこで、見積に「予備費」という項目を新設しておく方法があります。
予備費とは、使うかもしれないし、使わないかもしれない予算を見積もって、余分に計上しておく金銭です。
見積には「諸経費」という項目を作っていると思いますが、一般的に「諸経費」とは、共通仮設費、現場管理費、事務所経費などが含まれ、利益を確保するためには欠かせない項目なので、ここで調整するのは好ましくありません。
予備費の用途は、自然災害時や想定以上の物価上昇が生じた際への対応など、予見できないリスクに対応するために計上するお金です。具体的には「事業予備費」「設計予備費」「工事予備費」の3つに分類でき、事業予備費は自然災害や市場環境の急変、設計予備費は設計地耐力など情報不足を原因とする追加費用、工事予備費は仕入原価の高騰や工期延長に対応するためのものです。
この「予備費」は見積書に明記しておかないと意味がありませんが、金額の根拠があいまいだとかえって発注者の不信感を招くかもしれません。
そこで、予備費は補助金そのものとすることも方法の1つです。
補助金は標準仕様からの仕様アップ分に充当することが多いですが、そうはせず、着工後の原価高騰が想定以上で工事完成精算時に増額請求が必要となった場合にこの補助金から充当させてもらうという方法です。
住宅省エネ2026キャンペーン補助金は、住宅会社が補助金を代理受領するしくみです。
補助金はもし残ったら還元する。という約束にしておきましょう。
さらに、補助金以上に追加金額が必要となったとしても、補助金額以上にはお客様に請求しないとすれば、お客様の合意は得やすいでしょう。
この約束は事業者にも一定のリスクを負うものですが、増額協議が長引くようであればひとつの手段です。ただし、補助金は着工時に予算残があるなら予約申請できるものです。
GX志向型住宅など早期予算終了する可能性があるコースより、長期優良住宅など安定している事業を選択するようにしましょう。
なお、ZEH水準はわずか35万の補助金なので予備費に活用することはできません。
令和8年は高性能住宅を標準仕様としておくほうが賢明です。
この、補助金を予備費とする方法について、
当サイトで「原価高騰による追加請求は補助金で相殺する合意書」サンプルを作りました。
無料ダウンロードはこちらから。
※追加請求は補助金額を上限までとした様式になっています。ご注意ください。
※使用にあたっては必ず利用者ご自身の責任において、関係機関への確認や専門家への相談を行って使用してください。
今回は、中東情勢不安による建築資材供給不安にどう対処すべきかについてお話しました。
いかがだったでしょうか。
不可抗力とはいえ、お客様にとって納得できないことばかりを一方的に要求すると、不満が募って、ささいなことでも感情的なクレームが増える可能性もあります。
まずは契約見積を概算とはせず性能等級や仕様の詳細も確定させた緻密な見積にすることを心掛けましょう。
さらに補助金は長期優良住宅の補助金を予備費として活用し、補助金の予算早期終了リスクに対処しておきましょう。
長期優良住宅には固定生産財の優遇や地震保険の割引など、価格を落とした一般住宅では得られないような総合的なメリットがあります。
耐震等級を取得するために構造材の見積金額は上がりますが、
今年は注文住宅をギリギリの低価格で契約すること自体、事業者側のリスクでしかありません。
新築の基本仕様は最初から高性能住宅にして高価格の理由づけをしておきましょう。
あらゆる住宅建築資材が価格高騰する中、令和8年度は中古住宅購入+リフォームに力をいれていきたいところです。
先進的窓リノベ2026を活用して既存住宅を断熱改修し補助金申請する方法も提案していけば、
お客様の予算に応じた選択肢を提案でき、お客様も納得しやすいでしょう。
北陸新築リフォーム 補助金サポートナビでは、長期優良住宅申請サポートやGX志向型住宅の仕様相談、住宅省エネ2026キャンペーン補助金の申請サポートが可能です。
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