例年4月から5月はいろんな補助金が一気にスタートする月です。
みなさまにもいろんな媒体から公募情報のメールが届いていたのではないでしょうか?
しかしその1つ1つの補助金の申請マニュアルをその都度確認して理解するのは、とっても大変です。
そこで、今回は令和5年度の春スタートした補助金情報を一挙に解説いたします。
【目次】
1. 新築住宅の補助金
【国交省】 地域型住宅グリーン化事業 補助金70万~140万
【環境省】 ZEH支援事業 補助金55万または100万
【経産省】次世代ZEH+支援事業(注文・建売・TPO) 補助額100万+α
【経産省】次世代HEMS実証事業 補助額112万円+α
【国交省】こどもエコすまい支援事業【こどもエコすまい】 補助額100万
2. リフォームの補助金
【環境省】既存住宅における断熱リフォーム支援事業 補助金上限 120万
【経産省】次世代省エネ建材の実証支援事業 補助額上限 150万~300万
【国交省】住宅エコリフォーム推進事業 補助金上限35万 ※耐震要件あり
【国交省】長期優良住宅化リフォーム推進事業 補助金100万~250万 ※耐震要件あり
【富山県】令和5年度住宅省エネ改修推進モデル事業 補助金 120万まで 耐震要件あり(予定)
3. 先進的窓リノベの代わりになりそうなおすすめの補助金
4.まとめ
・木造の戸建住宅であること
・地域のグループに施工構成員登録している工務店で建築すること
・ZEH水準以上であっても壁量計算による耐震等級1の住宅は補助対象外
・こどもエコすまい支援事業と連携する【こどもエコ活用タイプ】と【通常タイプ】あり
解説
今年度の特徴として最も重要なのは、どの申請枠でも壁量計算による耐震等級1の住宅は補助対象外になった点です。
つまり耐震性において確認申請のみ取得している住宅はゼロエネ住宅でも補助の対象外。
耐震等級2以上の木造戸建住宅であることが大前提なので主に構造計算が必須になります。
また、昨年は長寿命やゼロエネ住宅の未経験事業者の場合の補助金額は140万~と高額であったところ、
今年度は基礎額70万からと補助金の水準が大幅減(通常タイプの場合)。
加算を最大限に活用しないと100万以上の補助金になりません。
なお通常タイプとは別に【こどもエコ活用タイプ】というコースあり。
こどもエコすまい支援事業の方で100万円を別途申請する前提で、加算だけを配分する方式です。
こどもエコすまいの予算がある時期限定なので、実質7月中までしか使えない申請タイプとなる見通し。
グリーン化事業は例年、12月頃までは予算があり申請可能、実績報告も翌年度の夏頃まで延長が可能です。
グループ事務局のサポートを受けてじっくり耐震等級に取り組める時間はありますが、
耐震性のサポートが受けられるグループでないと実施は難しいと思います。
ZEHビルダー登録事業者向け補助金。戸建住宅のみ。こちらはHEMSが必須です。
ZEH、NearlyZEH、ZEHOrientedいずれも補助金55万円。
ZEH+、NearlyZEH+は補助金100万円。
ZEH+にする場合の追加要件は下記です。
・再生可能エネルギー除いた削減率が25%以上(さらなる削減の強化)
・次の3つのうち2つを採用すること。(当サイトおすすめは①と③)
① UA値を0.50以下にする
② 高度HEMS(IoT住宅化)
③ 電気自動車への充電コンセント設置(EVの所有は要件ではない)
蓄電池等を設置した場合は別途加算あり。
大手ハウスメーカ―はすでにZEHを標準化しているので定番的に利用している補助金です。
今年はこどもエコすまいが終了したら、ZEH+の100万円の申請が増えると思います。
ただし竣工期限が年度末(2月)なので一次公募がおすすめ。
応募して交付決定までは3週間ほど、それから契約して着工すること。
一次公募に早めに応募して、遅くとも夏には着工するペースで利用しましょう。
なお本補助金はZEHビルダ―登録を維持している必要があります。
毎年4月に建築実績を実績報告している状態が必要です。
面倒でもビルダー報告は期間内に毎年提出しましょう。
環境省実施の上記「ZEH支援事業」の進化版。
ZEH+の要件を満たし(上記参照)、さらに下記のうちいずれか1つを採用することが追加要件になっています。
追加要件別に補助金の加算あり。当サイトおすすめは①です。加算もあるので。
① 蓄電システム 補助額:2万円/khw、上限20万まで
② V2H充電設備 補助額:75万円または補助対象工事費(経費)の1/2
③ 燃料電池 補助額:2万円/台)
④ 太陽光利用温水システム 補助額:液体式は17万、空気式は60万円
⑤ 太陽光発電システム10KW以上(余剰発電) 補助加算なし
なお、この補助事業は計画中の建売住宅に対して10戸の予算枠を事前付与可能(事前申請)。
ただし実績報告期限の来年2月までに売買契約にならないと申請していても補助金はもらえません。
またTPOモデルを認めており、太陽光パネルそのものが建築主以外の第三者所有、リース等の案件でも申請可能。
蓄電池の希望が最初から決まっているケースてはこちらにチャレンジがおすすめです。
上記の次世代ZEH+支援事業の進化版。AIやIoT等をフル活用し、
太陽光発電システムや蓄電池等の最適制御を行う先進的なHEMS住宅とすること。
まずはZEH+の要件を満たし、3つの選択要件①②③のうち②高度HEMS(IoT住宅化)を必ず選択すること。
かつ蓄電システムまたはV2H充電設備を採用すること。
こちらは高度HEMS(エネルギーマネジメント)住宅とすることが必須になります。
高度HEMS=Iot化のイメージ。HEMSを工事する際に、計測ポイントを太陽光や給湯器だけでなく
冷暖房や24時間換気設備、照明、蓄電池、急速充電設備など多数になる。
なお実績報告時にはこの計測データを3日分は提出することになるため
太陽光の連携が完了した上で所有者が入居して日常生活していないと実績報告できない点に注意。
HEMS工事に慣れている電気やさんとの連携必須。
太陽光の連携が遅れると実績報告できず致命的。
連携にかかわる遅れなど、随時支援室に直接相談しましょう。
既に当サイトでもご紹介済みの補助金です。
当初、令和5年12月末まで申請できる予定でしたが
現在の事業予算の減るペースからすると6月末には70%消化、7月中旬には予算終了すると予測します。
何度も申し上げますが、予約申請には
事業者登録の完了状態(口座の登録完了)と、交付申請担当者アカウントが必要なので、
今のうちに申請案件の予約(交付)申請入力をちょっと始めておくなど、
早めの準備をしておきましょう。
本事業に登録された高性能建材(断熱材・窓等)を使用して改修すること
LDKを中心に改修すること
①トータル断熱 LDKを含めて延べ床面積の25%~100%断熱改修すること
②居間だけ断熱 LDKの窓全てを樹脂サッシ等で改修すること(ガラス交換は対象外)
窓改修のみの申請が可能な補助金です。
①の場合は住宅全ての窓を改修すること、②はLDKに存在するすべての窓を改修する必要があります。
窓のグレードは①はこどもエコすまいZEH水準相当の窓でOK、②は先進窓リノベ対象の窓以上が補助対象です。
なお本事業は窓と断熱材が主な補助対象ですが、
必須工事を満たした場合に玄関ドア、蓄電池なども追加的に補助対象にすることができます。
契約前、着工前に交付申請し1か月後くらいに
交付決定通知を入手してから現場解体する必要があります。
交付決定番号を工事看板に書いて未着工状態の現場を写真提出することになるので、
先行して現場が始まらないよう注意しましょう。
あらかじめ本事業に登録された高性能建材を使用する断熱改修が補助対象です。
既存住宅全体を改修する場合などは本事業が向いていますが、
充填断熱は不可、外張りまたは内張で既存壁を壊さないで断熱改修する場合の補助金です。
柱のみのスケルトンにする場合は上記の「断熱リフォーム支援事業」にしましょう。
申請のタイプは3種類。
① 外張り断熱コース(外張りでネオマフォーム全面施工しUA値が0.60以下に改修する)
② 内張り断熱コース(室内の既存壁にネオマフォーム断熱パネルを貼って改修する)
③ 窓のみコース:全窓と玄関戸を防火防犯仕様等で改修すること
こちらにも窓のみで補助金申請できるコース③がありますが網入り防火ガラスになります。
②の内張断熱コースは簡易ですが下限が補助額20万であるため、
LDK+もう1室くらいの工事規模があれば申請できます。
既存住宅をZEHレベルの高い省エネ性能へ改修することが目的。事業者登録※後に着工すること。
①部分改修の要件
・開口部を2か所以上ZEH仕様に改修すること(必須工事)
・断熱改修をZEH仕様基準を満たす厚みで改修する工事(任意)
・エコ住宅設備(高効率給湯機+高断熱浴槽+節湯水栓)を改修する工事(任意)
②全体改修・建替え(戸建)
・BELS等によりZEH水準住宅の性能に改修すること
※耐震要件について
①の部分改修の場合
現行の耐震基準以上の住宅、つまり昭和56年6月以降に建築された住宅が対象です。
不動産登記事項証明書も提出あり。
②の全体改修または建て替えの場合
改修時に「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための
必要な壁量等の基準(案)の概要※1」により構造安全性が確かめられること。
今年からこの規定があるので本事業は耐震改修が必須になりました
(リフォーム時に合板等を使って耐力壁をさらに増やす必要あり)。
申請時に壁量計算書の提出あり。
本補助金は令和4年度に初登場しましたが、当時の解説コラムがありますので参考にしてください。
https://hokuriku-hojyokin.jp/column/296/
なお、昨年事業との違いは
補助率が11.5%→40%に引き上げになったこと(喜)
補助金額の上限が昨年は約51万円→35万に引き下げられたこと。(悲)
また、本事業では補助金の申請を「jGrants」というネット申請システムを使う必要があります。
https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W2x000007Cqj6EAC
上記「jGrants」内で募集されている「住宅エコリフォーム推進事業」に事業者登録を申請し、
登録が完了すれば現場の解体(着工)は可能です。
申請物件が未定でも、今のうちに事業者登録はしておくと良いでしょう。
本事業は既存住宅を長寿命化するために、耐震性、省エネ性、劣化対策(通気構造と防腐処理等)、
維持管理(配管の更新)についての性能向上リフォームが補助対象です。
<1> 評価基準型 補助額上限100万(加算別途あり)※評価基準型は5月18日で予算終了しました
<2> 認定長期優良住宅型 補助額上限200万(加算別途あり)
上記の2種類があります。
このうち<1>は5月18日に予算終了してしまったので、現在<2>の認定型のみ申請可能。
こちらは既存住宅について増改築版長期優良住宅認定を取得する必要があるので、
スケルトンにするような大規模改修におすすめ。
まずは事業HPで事業者登録を行ってから、
リフォーム前の状態を既存住宅状況調査技術者にインスペクションしてもらいましょう。
その後、請負契約次第、事業HPで「住宅登録」しておけばリフォーム工事に着工することができます。
ただし解体前に補助対象とする部位のリフォーム前写真をしっかり撮影しておく必要があります。
また断熱工事など施工中写真が必要な工事もあるので、交付申請マニュアルの写真提出内容をよく確認しておきましょう。
なお、本事業は加算メニューとして
①三世代同居対応リフォーム
②子育て世帯向け改修リフォーム
③防災レジリエンス性能向上リフォーム
があり、加算の上限は①②は50万円まで、③は15万まで可能。
本事業は既存住宅を耐震性含め総合的に性能向上させる必要があるため、
窓や断熱材だけで申請できるわけではありませんが、
リフォーム工事見積金額が2000万以上のレベルの大規模改修であれば、
実施予定の工事がおのずと補助金の要件を満たしていることが多いので、そういった案件にはおすすめです。
ただしこちらも基本的には年度末2月には実績報告が原則必要なので、冬のあいだに検討しておき春に申請。
夏にはさっさと着工できるように、1年前から計画しておきましょう。
(参考)まもなく公募開始
富山県内の既存住宅を省エネレベルまたはZEHレベルへ改修することが目的。
昭和56年6月以降に建築された戸建て住宅であること。
①部分改修の要件
・開口部を2か所以上ZEH仕様に改修すること(必須工事)
・断熱改修をZEH仕様基準を満たす厚みで改修する工事(任意)
・エコ住宅設備(高効率給湯機+高断熱浴槽+節湯水栓)を改修する工事(任意)
②全体改修・建替え(戸建)
・BELS等によりZEH水準住宅の性能に改修すること
本事業は富山県予算による富山県向け補助事業です。
令和4年の1月に一瞬公募されすぐ終了しました。令和5年度の募集が5月末~6月中に始まる見込み。
① の部分改修は窓のみの申請も可能、補助金額も上限が120万まで申請可能。
こどもエコすまいや先進窓リノベが終了したのちのリフォームの補助金として、
富山県の場合であればこの補助金が最もおすすめですが、
予算規模が少ないので、今回も公募開始後、1~2か月くらいで終了してしまうと思います。
既に当サイトでもご紹介済みの補助金です。
(何度も言いますが)予約申請には事業者登録の完了状態(口座の登録)と、
交付申請担当者アカウントが必要なので、今のうちに予約(交付)申請入力を
ちょっと始めておくなど、早めの準備をしておきましょう。
こどもエコすまい支援事業(リフォーム) 補助額上限 30万(45万)/戸
「こども」とありますが世帯要件ありません。住宅なら申請可能。
本事業は補助対象製品が幅広いのでとても使いやすくておすすめ。
令和5年12月末まで申請できる予定でしたが現在の事業予算の減るペースからすると6月末には70%消化、
7月中旬には予算終了すると予測します。
6月末までに予約申請(リフォーム着工時)または交付申請(リフォーム完成後)する方が良いでしょう。
ただし予約申請には解体写真必要です。
先進的窓リノベ事業 補助金上限 200万
今回大変注目された、高性能窓の補助金です。人気すぎて現在メーカーの納期遅延が発生中、今から発注してもリフォーム完成時には事業(予算)は終わっているかもしれません。
現在は事業予算の減るペースはゆるやかですが、6月ごろから急増すると予測します。7月末には予算終了する可能性ありと予測します。
給湯省エネ事業 補助金5万~15万/台
高効率給湯器に対する補助金です。新築、リフォームどちらも可。
高効率のエコキュート、エネファーム、ハイブリッド給湯機のみが補助対象。
今のところあまり人気なさそう?
今年12月末の実施期間まで予算は持ちそうな気がします。
先進的窓リノベを検討したとたん、納期遅延で契約や発注ができずじまいの方が、
窓改修で使える他の補助金情報を必死にさがしています。
当サイトがおすすめするのは下記です。
窓改修のみでも補助金申請が成立する方法がある。
【国交省】住宅エコリフォーム推進事業 補助金上限35万 ※耐震要件あり
【富山県】令和5年度住宅省エネ改修推進モデル事業 補助金 120万まで 耐震要件あり・・まもなく開始予定
注意点ですが、まずは補助金の申請前に着工(解体)はしないでください。
リフォーム前後の現場写真提出も、補助金側からの指定がけっこう細かくて多いので、
なんとなく撮った写真では対応できません。
担当者を決めてマニュアルをしっかり確認しましょう。
現在実施中の補助金の概要を一挙に解説しましたが、いかがだったでしょうか。
例年、4月から5月は補助事業が一斉に始まるシーズンです。
国交省、経産省、環境省など、実施体も概要もさまざまですが、下記は共通していますので覚えておくと良いですよ。
共通①スケジュール
春に応募し夏に着工。冬に実績報告させて3月までに補助金を支払いする年間スケジュール
共通②目的
カーボンニュートラル実現が目的の省エネ改修が多い
共通③国交省の春の補助金は耐震要件がある
国交省の補助事業は補助金の対象とする住宅に耐震性能を求めます。
耐震性が不問な傾向があるのは、補正予算事業と、経産省環境省の補助金です。
リフォームの補助金は特にいろいろと選択できるので、
事前に狙いたい補助金の申請タイミングを予測し、工期をしっかり合わせれば、
補助金を活用した賢いリフォーム提案ができますよ!
今回ご紹介した最新の補助金情報を一覧表としてまとめました。
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