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【国交省説明会レポート③】省エネ適合義務開始タイミングは着工日で判定!

今回解説する部分の国交省説明資料はこちら

 

1.はじめに

いつもご愛読いただきありがとうございます。

北陸新築・リフォーム補助金サポートナビ編集部です。

先日、国交省主催の改正建築基準法・改正建築物省エネ法制度説明会に参加しました。

説明会は約1時間半でしたが、

あまりにも新しい情報が多すぎ&変更事項が多すぎて、

説明終了後には個別質問の長蛇の列が・・・!

今回の法改正は、省エネ適合だけでなく、構造規定にもかなりの改変があります。

2025年の確認申請が激変します!混乱必至。

 

今回の説明会のポイントは4つ。

  • ① 壁量計算や柱の小径の算定手法がまったく新しいものになる
  • ② 旧4号建築物が新2号建築物へ移行しこれまでの確認申請手続きが激変する
  • ③ 省エネ基準適合義務対象は2025年4月着工物件から
  • ④ 工事中に仕様変更が出たら?軽微変更で済む条件とは

当サイトをご愛読いただいているみなさまのために先行して、

【国交省説明会レポート】として毎週ご紹介中!

今回はレポート第3弾、省エネ基準適合義務化について解説します!

 

2.【国交省説明会レポート③】省エネ適合義務開始タイミングは着工日で判定!

 

令和7年(2025年)4月に施行予定の改正建築基準法・改正建築物省エネ法ですが、

2階建以上または200㎡超の建築物は「新2号建築物」となり、

確認申請における構造と省エネ適合の審査が始まる予定です。

 

■建築確認時における構造・省エネの審査の有無

 

確認申請前に外皮計算書と一次エネルギー計算書について審査に提出して

省エネ基準に適合しているかどうかの合否をもらう=「エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)」といいます。

「省エネ適判」は、所管行政庁(県知事)または民間の性能判定機関も可能です。

=民間がおすすめです。

民間の性能判定機関から「省エネ適合判定通知書」を先に入手しておいて、

確認申請時にはその通知書を添付するだけでOK。

これで省エネ適判合格済物件として確認申請提出できます。

この事前に性能判定機関で「省エネ適合判定通知書」を利用する方式であれば、

確認申請先での省エネ審査の審査実務がほぼ無いので最もおすすめです!当サイトでもサポート可能!

 

省エネ基準に適合していることを表現としては、外皮計算書と一次エネルギー計算が主ですが、

計算ではなく仕様で判断する「仕様基準」で適合させる方法があります。

この場合は断熱仕様や部位別の熱貫流率、一次エネルギー設備の仕様や品番について網羅した仕様表を作成し、

仕様基準の技術条件と内容合致しているかを建築主事が直接審査します=「省エネ適判なし」と言う

建築主事から図面の記載事項の不足や文言訂正指示があれば従います。

これまでの確認申請上の対応が省エネ基準図書について実施することになります。

「省エネ適判なし」と呼びますが同じ量の図面は必要ですし審査が無いという意味ではありません。

 

ちなみにこの「仕様基準」の内容はかなり安全側の性能で設定されています。

特に天井や屋根の断熱材の必要厚みはかなり厚くなります。

吹付ウレタンフォームの場合は商品にもよりますが、184mmくらいは必要になる場合あり。

また冷暖房設備や給湯設備などで選べる機器の制限があるので、事前に仕様基準が使えるかしっかり確認しましょう。

北陸の注文住宅は仕様のパターンがバラエティに富んでいるので、

当サイト担当者は正直、みなさんにとって仕様基準メインの申請は難しいと思っています。

仕様を決めている建売住宅であれば利用できるかもしれませんね。

 

さて、外皮計算ありの省エネ適判通知書ありだろうと、仕様基準であろうと、

これからは建物を建築する設計請負業として省エネ設計実務が全棟必須になりますので、

これまでの基本的な設計図書に追加して、

断熱材、外部開口部、玄関ドア、エアコン、給湯機器、24時間換気、節湯水栓、照明設備がどんなものなのか、

仕様や機器の品番につて図面化することになります。

そして竣工時の完了検査では、図面に記載済の仕様や品番情報と施工現場が一致しているかどうかも

審査対象になるのです。。。!

品番変更があれば変更後の性能根拠資料を提出、場合によっては省エネ再計算も必要です。

検査済証が出るまでの確認申請実務は今よりずっとずっと大変になるでしょう。。

おそらく法改正施行直前の2025年3月にはかけこみの確認申請が急増すると思います。

面倒そうだから夏着工だけど2025年3月中に確認申請をさっさと申請してしまおう!

と思った方はいますか?

実は今回の省エネ適合義務の適用開始時期の判断は、

2025年4月1日以降に現場着工するものであれば全て省エネ基準適合義務対象です。

改正前の2025年3月のかけこみ申請は無意味ですのでやめましょう。

基礎着工が2025年4月1日を超えるなら、確認済証を早々に入手していても省エネ基準適合義務対象です。

打合せが進んでないのに無理に確認申請すると後から変更申請が多くなって大変ですよ。

竣工検査で現地確認される内容がかなり増えるという点が、

今回の省エネ義務化の正念場だと思います。

着工時の計画内容と竣工内容の変更内容の確認が、手続き上は重要なのです。

着工時に仕様の全てを決定しない今のままだと、変更対応実務でずいぶん手間がかかると思います。

今後は着工後の変更はなるべく減らしていくことをおすすめします。(完全着工をがんばる)

①まずは会社内での基本設計ルールを決めて(住宅設備の打合せも早期に実施) 

②実働してみて問題点を確認。

こういったことを2025年4月に急に始めるのではなく、

今から対応をスタートしておくのがおすすめです。

なお、省エネ基準適合義務化後に必要になる図書や資料のリストの例はこちら。

【新2号建築物(2階建て木造一戸建て住宅の場合)の確認申請提出物の例】

・仕様表(構造関係)
・計画概要
・付近見取図
・内部外部仕上表
・求積図・配置図
・平面図
・立面図
・断面図
・構造詳細図(基礎断面や防火構造の詳細図)
・床面積・見付面積計算表
・壁量判定 兼 耐力壁図
・四分割法判定
・柱頭柱脚金物算定(N値計算法)
・給排水衛生・電気設備図
・計算書(採光・換気)
・設計内容説明書(省エネ)★
・断熱材の仕様書(省エネ)★
・外部開口部の仕様書(省エネ)★
・住宅設備機器仕様書(省エネ)★

★は「省エネ適合判定通知書」添付でOKの予定。

省エネの審査に必要な仕様の情報を書いた各種仕様書★

当サイトで国交省の解説書を元に★の省エネ仕様書サンプルを作成しました。

エクセル版なので下記からダウンロードしてご活用ください。

 

3.まとめ

国交省説明会レポート①でもお伝えしましたが、

これからは壁量と柱の小径の決定のためには住宅の仕様(荷重)を先に決定します。

仕様の未決定が多いほど安全側の指標を使うしかないでしょう。(早見表を選択)

さらに断熱仕様の全てと一次エネルギー計算に関係する住宅設備も決定し、

仕様書にまとめて確認申請提出です。

これからの確認申請はこれだけの情報をまとめないと申請できなくなるんですね・・!

想定している建築確認審査期間は最長で35日!!

確認済証が1週間で出る時代はもう終わりのようです。。

これからは確認申請期間をしっかり取った工程を組みましょう。

次回の説明会レポートは「工事中に変更が起きた時の手続き」について解説いたします。

おたのしみに!

今回解説した部分の国交省説明資料はこちら

 

※本レポートで解説した内容は国交省のHPの掲載資料でご確認いただけます。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/04.html#cont1

※本記事記載内容は令和5年11月上旬時点の情報であり今後変更される場合があります。

 

第4回レポートはこちら

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